Highlights

Four Tet × Floating Points

DJ Nobu ×
Joey Anderson

B2Bは、ここ数年、フェスティバルや”特別な”イベントで大流行りだ。ブースに1人ではなく2人(もしくはそれ以上)のDJがいて、片方が曲をかけている間にもう1人が次のレコードを探したり、あるいは隣で踊っていたり、何だか嬉しそうにプレイ中のDJに耳打ちしたりと、1人のDJが黙々とプレイしているよりも視覚的に動きもあるし華やかになる。「お祭り感」と「特別感」は確実に増す。

そんな訳で盛んに行なわれるようになったB2Bだが、実は、優れたDJがひとりでプレイした場合よりもそれが音楽体験として勝ることは滅多にないと言っていい。特にそれが優れたDJ2人だった場合は大抵、「ああ、別々にやってくれたらもっと良かったな」と思ってしまう。だって、DJというのは単に「カッコいい曲を順番にかけていく」ことだけではないから。ひとりの方がより緻密にセットの流れを構成し、精度の高いミックスをし、全体をコントロールできる。そのスキルが高いDJであればあるほど、B2Bでは相手のDJに流れを崩されたり、方向性を変えられたり、呼吸が合わなかったりすることが妨げになってしまうことが少なくない。3 Chairs、Optimo、Hessle Audio、Discodromoといった、お互いを知り尽くしたDJチーム以外のB2Bセットで感動したことやぶっ飛ばされたことはハッキリ言ってほとんどない。

それでも、ごく稀に、B2Bでミラクルが起こることがある。ひとりでプレイする際には思いつかないような意外な展開、2人の異なるスタイルや美意識、知識や経験が合わさることによって、とてつもない化学反応が起こることがある。2016年の「Rainbow Disco Club」でのDJ NobuとThe Black MadonnaのB2Bでは、これが起こった。その感動をまた体験したくて、DJ Nobuが指名する形で昨年はFred Pとの手合わせが実現し、さらに新たな境地が拓かれた。そして、「Rainbow Disco Club」恒例となった今年2018年のB2B第三弾に、DJ Nobuが相手に選んだのはJoey Andersonだ。

Joeyは生粋のニュージャージーっ子で、もともとハウス・ダンサーである。同郷の旧友のDJ Quと共に、ダンス・インストラクターとして何度も日本に呼ばれていたほどで、それはそんじょそこらの(私らのような)クラバーやらレイヴァーとは全く別の次元で「踊る」ことに情熱を持ち、またその奥義を知り尽くしている。当然、だからと言っていい曲が作れたりDJが上手くできたりするわけではない。むしろ、それが全てできる人は滅多にいない。が、彼はその希少な才人の1人だ。Joeyのサウンドが驚異的なのは、身体を突き動かすフィジカルさと異世界へトリップさせるサイケデリックさの両方を、強力に兼ね備えているところだ。というか、現代人はついつい頭と体を切り離して考えがちだが、ダンス・ミュージックはまさにそれを接続するためにあるのだということを思い出させてくれる。また、そこにはハウスだとかテクノだとかの境界線はない。音があって身体があってマインドがあって、それらが高次元で一体化した時、ダンスフロアでしか味わえない、非常にスピリチュアルな体験になることを彼はよく知っているし、いつもその到達点を目指して活動してきた。

そう、その姿勢と美学はDJ Nobuととてもよく似ているのだ。だからDJ Nobuが昨年のアムステルダムでの「Dekmantel」フェスティバルの際に、Joeyのプレイを聴いて瞬時に確信し、その場で「Rainbow Disco Club」で一緒にB2Bをやってほしいとオファーしたのも良く分かる。他の手段や方法ではたどり着けない、未知の目的地を、2人は常に追い求めている。2人が世界の全く異なる地点において、長年それぞれに探求してきた知識と経験と感覚が結集されるのだから、これはめちゃくちゃスリリングだ。きっとそれは迷宮に迷い込んでいくような感覚だろう。目的地はどこか分からない。だけど確実に今まで行ったことにない場所に旅をさせてくれる、そんな体験がきっと待っている。

Text by Yuko Asanuma