MOTOR CITY DRUM ENSEMBLE

モーター・シティ・ドラム・アンサンブルは、レトロでありながらフューチャリスティック、そんなジャーマンハウスのパイオニア的存在であるダニーロ・プレッソという、“たった一人の男によるユニークなアンサンブル”プロジェクト。ダニーロは1985年に南ドイツ地方の小さな町で生まれ、すぐにベンツ、ポルシェ、ボッシュなどの本社があるドイツの“モーターシティ”であるシュトゥットガルトへと越す。彼の最もポピュラーなアーティスト名であるMCDEはそう、彼のホームタウンからきているのだ。一方 “ドラム・アンサンブル”は、彼のソウル、ジャズ、テクノといった音楽への愛のバックボーンとなっているクラシックドラムのコレクションのことを指す。
ダニーロ・プレッソが何かを始めるのはいつもとにかく早かった。彼はわずか6歳でドラムを叩き始め、学校の吹奏楽部でジャズに夢中になり、11歳になるとコンピューターと音源のサンプルを使って作曲をし始めた。ジャズ、ソウル、ファンク、ヒップホップそしてハウスに影響を受けたダニーロの初めての作品は、そのたった5年後(2000年)にシュトゥットガルトのPulver Recordsから、彼のハウスビートプロジェクトであるインバース・シネマティックス名義でリリースされる。7枚の12インチレコード(「Slow Swing」と「Detroit Jazzin」など)、1枚のアルバム(「Passinʼ Through」)、そして数々のリミックスやコンピレーションを次々と公開し、そのプロジェクトがきっかけでダニーロは、後にコラボレーションすることとなるジャイルス・ピーターソンやレイナー・トゥルービーといった大御所たちからラブコールを受けるようになるのだ。
その後いくつかの個人・共同のニュージャズ系プロジェクトを経て、ダニーロは自身のルーツであるハウスミュージックへと立ち返り、モーター・シティ・ドラム・アンサンブル(MCDE)としての活動を開始する。2008年には、5つのリリースをもってハウスミュージックシーンにその存在感を大いに発揮する。それこそが自身のレーベルであるMCDEからリリースされ、今や伝説的となっているRaw Cutsシリーズだ。その娯楽的で人々を引きつけるサウンドは、当時新しさに欠けていたディープハウス界に新風をもたらした。このカルト的人気を誇るシリーズの3枚すべてのシングルは、今日もJuno Recordsのトップ・セリング・シングル・チャートの上位6位以内の座をキープしており、それらは疑う余地なく、ダンスフロアで最もプレイされているトラックのひとつである。
チャレンジングなリミックスワークで、ダニーロは私たちを飽きさせることをしない。カリブ、DJスプリンクルズ、ジャザノヴァ、ティガ、ゼロセブンといった著名アーティストへのトラック提供や、最近のミッドランドの「What we know」のリミックス提供では、他アーティストとのコラボレーションによっても素晴らしく革新的な作品を完成させるのだということを世に知らしめた。それゆえに、圧倒的に若いダニーロがRAでTop 10アーティスト欄に名を連ねていることは、決して不思議ではない。しかも、ダニーロが手がけたNUfrequencyの「Fallen Hero」の軽快なリミックスをもって言えば、彼はResident AdvisorのDJチャートのトップにもその名を輝かせている。 縦横無尽な作曲スキル、完成度の高い仕上げやリミックスを評価され、2011年には!K7の人気シリーズDJ Kicksで素晴らしいLPを完成させている。そしてMCDEからシングル「L.O.V.E.」を発表。RA、XLR8R、Juno Plus、FACTmagなどで公開された高評価のポッドキャストも、彼の秀でた音楽センスと精巧なミックススキルを証明するものになっている。
数々のプロジェクトを手がけ、少なくとも25以上の、最も有名なところから無名なところまでを含むレーベルからリリースしていながら、ダニーロは自身のアンダーグラウンドなルーツに常に忠実だ。最新のEPである「Send A Prayer」は自身のMCDE Recordingsからリリースされており、Raw Cutsシリーズのホームでもあるこのレーベルを共同経営しているのが、友人であるフランス人DJのパブロ・ヴァレンティノ。彼もまた、Creative Swing Allianceとして同レーベルからトラックをリリースしている。
MCDEは、この数年で数え切れないほどの歓声を浴び、世界中でたくさんの人を喜ばせてきた。そして、デジタル制作が普及した現代ではなかなか耳にすることのない、エネルギーとソウルに満ち溢れたディープなサウンドを自分だけのシグネチャーとして創造し続けている。それを可能とさせるのは、ダニーロのオープンなマインド、メロディを聴くことに長けた耳、そしてエレクトロニックミュージックの深い知識である。
人々を踊らせ続けながら、常に自身のエモーショナルでメロディックな側面を見せつけることもできる彼はDJとしても成熟している。彼のテクニカルな技術と多種多様な音楽性は、世界各地の名だたるベニューやフェスティバルのフロアを沸かせてきた。
ダニーロは、近年のハウスミュージックの再定義を計り続けている。ボーダレスな音楽性と魔法のようなプロデュース力、そのどちらもが彼が才能あふれるDJ兼プロデューサーであることを物語っており、その評判はワールドワイドに波及している。益々高い注目を集める若き俊英は、全方位のクロスオーバーセンスとミキシング能力を見せつけながら、今日も現代のディープハウスシーンの重要人物としてその名を馳せるのだ。